SEIICHI YAMADA Architect & Associates

about us projects workflow

news/note

> back

house in numazu|沼津の家


計画地は静岡県沼津市の中心部、周囲には住宅が建て込み、高等学校が見下ろすように建っている.隣接する住宅郡は、新旧含めておおよそ工業製品に覆われたつくりであり、高等学校はRC造で、塀越しにCB造+折板屋根のガスボンベ庫、金属ゴミ置場、駐車場が隣接している.見える範囲の近隣地にはコンテナが無造作に置かれ、周囲に緑はほとんどない.

これら周辺環境からマテリアルを選定したり、空間構成を導き出していくことは間違ってはいない.だが、コンテクストへの応答という思考の流れだけに終始してしまうと、いつのまにかクライアントを置き去りにしたり、何より建築の奥行きのようなものが失われてしまうと常々感じている.コンテクストを読み解くことと同時に、人の感情に作用するような建築のつくられ方を考えたい.

ここで試みたのは、周辺のコンテクストから空間構成や架構などを読み解くと同時に、この場所において直接的なコンテクストにはなりにくく、また人の触覚に作用する素材ーここでは木材を選定ーから寸法体系やディテールを検討し、その両方が融合する状態を求めていった.安価で耐久性のある樹種、手に入りやすい歩掛かりの良い寸法、表情あるテクスチャーなど木材単体のコンテクストを抽出・検証し、30mm×60mm×900mm赤身杉材を環境を読み解く為のひとつの単位とした.杉板の外壁は高さ方向に@900に積み上げて形成し、平面方向は@60mmに敷き詰め、内部空間は900mm若しくはその半分の450mmという材寸法単位に従って気積を規定した.開口部も同じく規定しつつアルミサッシを室内側へセットバックして納め、割付けに合わせて外壁を格子状に抜くことでプライバシーを確保している.唯一大きく開くことのできる南東面にバッファーとなる中庭を設けて光と風を取り込み、テラスは街を抜けた先の山々まで空間をつないでいる.

土地のコンテクストから構築体を生み出すことと、寸法を含めた素材単体のコンテクストから空間の気積やしつらえ、ディテールを生み出すことは役割が違う.前者は自然との応答を、後者は人との応答を意味し、それらを融合することで自然と構築体による長大な時間軸の中に人の感情や記憶の拠り所をつくる.その混ざり合った領域が建築なのだと考えている.


構造  |高橋俊也構造建築研究所
施工  |大栄工業(建築工事)
    |山脇豊左官(左官工事)
    |飯沼克起家具製作所(家具工事)
    |庭アトリエ(植栽工事)
写真  |川辺明伸