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house in kamo|加茂の家

計画地は、住宅と畑の入り交じる古い街区を街の拡がりに合わせて新たに再編した土地である.幹線道路から外れた比較的静かな場所ではあるが、隣接してマンションが建つことや、近い将来、周辺の畑地に住宅が建ち並ぶことが容易に考えられることなどから、将来的な街に対する佇まいと住環境がどうあるべきかを含め計画した.

周辺の住宅の多くが前面道路からセットバックしてカーポートを設置し、敷地南側に庭を設けていることから、同様の配置形式を踏襲した.階高を1.5層程度に抑えた佇まいとすることで背後の敷地への日照を確保し、軒や庇によって内部空間と街とのつながりを調整した.またプロポーションの配慮とともに質感と素材を周辺の新旧住宅のイメージから選定し用いることで、周辺環境に混在する古さと新しさをつなぐ、この街区らしい豊かな風景の一部となることを意図した.

平面プランは矩形を単純に4分割し、そこに水回りブロックを連結した.4分割された空間それぞれに床レベルを与え、1階から2階へ円を描くような動線をつくりだし、吹抜け空間を中心としてそれぞれの場が緩く等価につながる構成とした.
違和感のない場の連なりを実現するため、無数の見えない線を断面方向に重ね、空間のプロポーションや開口部、仕上ラインを統合する寸法体系を構築し、空間の全体性と場の性質に合わせた人の居心地の重心をつくり出した.それは、音や言葉を積み重ねて見えないもの(存在)を形づくる、ある種の音楽や小説に似ている.実際には存在しない無数の断面線による接続によって、空間に豊かな奥行きを与え、静かな秩序が通奏低音のように空間全体を漂う.
光と陰翳、風に靡くレースカーテン、木々のゆらぎなど、心が感情を宿していく拠りどころとなるものを見つめることで、人の営みをそっと包み込む、静かな背景としての建築を目指した.


所在地 |静岡県菊川市
主要用途|専用住宅
建築面積|84.30㎡
延床面積|107.13㎡

構造  |ワークショップ 安江一平
施工  |(株)山崎工務店(建築工事)
    |山脇豊左官(左官工事)
    |一木一木(造作家具工事)
    |飯沼克起家具製作所(置家具工事)
    |金森正起(金物工事)
    |庭アトリエ(植栽工事)
写真  |山内紀人